〈レビュー・感想〉『ザ・メキシカン』ドジでマヌケなブラッド・ピットが最高!

ネタバレあり。
内容を含みますので、ご注意ください。
物語のテーマについて書いています。

 

原題『The Mexican』は、2001年のアメリカ映画。ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツという、当時人気絶頂の二人の共演。監督は、ゴア・ヴァービンスキー。音楽は、アラン・シルヴェストリ。

 

LAに住むジェリー(ブラッド・ピット)とサマンサ(ジュリア・ロバーツ)は、一緒にラズベガス旅行へ行く予定だった。だったというのも、ジェリーがまたやらかして、急用の仕事が入ったのだ。仕事といっても、組織の使い走り。今度は、メキシコへある銃を取りに行くよう命じられる。いわくつきのその銃の名は「ザ・メキシカン」。二人は大喧嘩をした後、ジェリーはメキシコへ、サムはラスベガスへとそれぞれ旅に出る。

 

なんでもありのザ・メキシカン

この映画、低い評価が多いようですが、私は大好きですよ。ドジでマヌケなブラピがたまりません!そして、彼にセラピー好きでヒステリー気味のジュリア・ロバーツがまくしたてる。それでも別れられない。二人の笑顔が最高です。他の登場人物も魅力的で、誰にも思い入れしてしまいます。この映画は、なんでも混ざっていていいのです。メキシコとラスベガスが舞台でロード・ムービーの要素あり、アクションに銃、ギャング、二転三転する展開、コメディ、そしてラブ、ロマンチック。まぜこぜなのです。だって、タイトルが『ザ・メキシカン』。

 

私は、2004年にメキシコ旅行に行ったことがあるんですが、こちらもいい意味で何でもありな国だなと思ったし、今だと心配になるようなこともありましたが、ゆるく流れていく空気感とほがらかな人柄が大好きになりました。この映画の持つ雰囲気が、そのメキシコのイメージをあらわしているようでなんとも好きなのです。

 

そんな何でもありのメキシコのゆるーーい感じの中で奮闘するジェリーがおもしろい。はじめからエル・カミーノという車を選んでしまい、波乱のメキシコの旅が始まります。そして、伝説の銃「ザ・メキシカン」を手に入れたかと思いきや、一緒に連れて帰るはずのベック(デヴィッド・クラムホルツ)が大変なことに。しかもベックはマルゴリース(ジーン・ハックマン)の孫!マルゴリースは組織のドンで、ジェリーが組織の下で働くようになった原因だったのでした。さらには銃もエル・カミーノも盗まれてしまったジェリーは追いかけます。途中、犬も連れて。一方のサムは…。

 

「These Boots Are Made for Walkin’」といえば

Nancy Sinatra「These Boots Are Made for Walkin’」の選曲と使い方は最高だと思います。これは、サムが黄緑色のビートルでラスベガスに向かう途中のモールで流れます。けだるい感じがたまりません。それからこの曲とともに、急激にサムは事件に巻き込まれてしまうのです。この曲は、『オーシャンズ8』(2018年)のラストで大々的に使われていますが、この曲といえば、私はこの映画のこのシーンが思い浮かぶのです。

 

こうやってリロイと名乗る男(ジェームズ・ガンドルフィーニ)に誘拐されたサムは、途中逃げ出そうとしますが、うまくいきません。車の中で、トイレで、ダイナーで一緒にしゃべっているうちに、とうとうギャングの殺し屋でありゲイであるリロイとの間に友情が芽生えます。リロイは人を愛する気持ちを知っているのです。

 

お互いに愛し合っている二人が、どうしても…

リロイのサムへの問いかけが、この映画に流れる愛のテーマ。「お互いに愛し合っている二人が、どうしても一緒になれないように思えるとき、最後の時がくるのはいつ?」。なぞなぞのような問いのその答えに、サムの心は動かされます。

 

大好きなブラッド・ピットが演じる役柄の中で、一番好きなのがこのへなちょこでキュートなジェリー。警官と出くわした時に、平静を装おうとオレンジジュースをコクコクと飲むところが笑えます。へたれなんだけど、先輩テッド(J・K・シモンズ)が爆睡する中、一晩中寝ずに考えたりして、サムのために?どんどん賢く、強くなっていく姿が素敵です。

 

そして、昔から伝わるという伝説の銃「ザ・メキシカン」が美しい。西部劇のフィルム風に挿入される、その銃にまつわる物語がまたいいんです。そのテーマは「LOVE」。といっても、50代の男性の方にオススメしたら、お気に召したようでしたよ。ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツは『オーシャンズ11』(2001年)での共演もこの年です。