【書評】松任谷由実『才輝礼讃ー38のyumiyoriな話』飽きない対談集!

中央公論新社、2011年。読売新聞水曜夕刊「Pop Style」にて2008年8月から2011年8月まで連載された「yumiyoriな話」を再編集したものとあります。

 

ユーミン×38人のコラボレーション

ユーミン、私、大好きなんです!『卒業写真』はもう大好きすぎて、なんとかですがギターで弾き語りをしたことがあります。テレビの特集で、曲がエバーグリーン(いつまでも色褪せないこと)であることを目指しているとおっしゃっていましたが、聴いてもよし、歌ってもよしの数多くのエバーグリーンな曲を残されていますよね。『ひこうき雲』『春よ、来い』などなど。

 

こちらは、ユーミンの対談集。「お話する」っおもしろい。お互いの言葉に反応する、一言二言にその人らしさがにじみでているのです。対談集でしゃべり口調で書かれているので、リズム感もあってどんどん読めます。38人の著名人とユーミンとのコラボレーション。ユーミンも「そのときのインプロビゼーション(即興)で楽しめたら」と言われています。一人一人は短めの対談なんですが、それぞれの人の本を読んでいるかのように、その人の人となりが身近に感じられます。写真も楽しい。

 

「変わり続けるから、変わらずにいられる」

目次には俳優、ミュージシャン、小説家、漫画家、デザイナー、建築家、アスリート。その中でトップとして活躍する、そうそうたる面々が並びます。全体を読んで思ったのは、異なる分野で活動している人でも、目指そう、心がけようとしている考え方は時に同じだということ。孤独感、軋轢がある中でも、常に行動して、新しいものに挑戦する。吉永小百合さんとの対談でユーミンは、ニール・ヤングの言葉「変わり続けるから、変わらずにいられる」が好きだと言われています。

 

私が一番読みたかった小林武史さんとの対談では、ユーミンさんと呼ばれ、「「ユーミン」でいいですよ。登録商標みたいなものだから(笑)。」そして、ユーミンをプロデュースするとしたらどういう切り口かと尋ねられた小林さんは、トラッド(伝統的)感を外してとアイデアを出され、場所でいうとラダック(インドのジャンムー・カシミール州東部の地方)とまで話されています。小林さんの考えるこれからの日本や世界については、2009年の対談にして「お金の物差しに取って代わるものが、もっと多様に出てきてほしい。」

 

時折はさまれる、ユーミン自身の体験のお話がまたおもしろかったです。杏さんとの対談では、松本城でのデジャヴの体験を語り、「私ね……前世は「くノ一」だと思ってるんだけど」。千原ジュニアさんとの対談では、「声が、パイプオルガンみたいになっちゃったの。」「中学の時に、それ自体がパイプオルガンみたいな教会で、『トッカータとフーガ ニ短調』を聴いて、それが建物全体に響いて体にガーッと来た時、ぶわーっと涙が出て。」とおっしゃっています。上野千鶴子さんとの対談では、「“長生きのマイケル・ジャクソン”をやりたい」「七〇ぐらいまで今のまんまっていうのをやってみたい」と言われていて、さすがユーミン!と思いました。

 

ユーミンはやっぱり聞き上手!

とここまでユーミンの話を多く書いてしまいましたが、さすがユーミン、相手の話を聞き出すのもやっぱり上手。森光子さんとの対談では、いろんなことを教えてほしいと素直にお願いし、「人と、どんどん会話をすること。ちょっといやだなと思う人には、逃げないで声をかけること。」と素敵なアドバイスを受けられています。久米宏さんとの対談では、ネットやテレビとラジオの話で、映像よりも音のほうが潜在的に届いていると思うか尋ね、「ラジオは心にそっときますよね。」の言葉を引き出されています。

 

38のコラボレーション、言葉が、話が、どんどんふくらんでいくのがおもしろかったです。対談相手によってカラーや雰囲気が違って、どこを読んでもおもしろくて飽きない対談集です。